TOP > 基礎研究 > 金魚の赤色は色揚げ飼料で揚がるのか

基礎研究-laboratory study-

金魚の赤色は色揚げ飼料で揚がるのか

色揚飼料で金魚の赤色を適切に揚げるには

金魚の赤色は色揚飼料で揚げる事が可能です。
ただ、優れた色揚飼料を与えても色が思うように揚がらない事があるかもしれません。ひょっとすると、その原因は池の底面の色などの外部要因かもしれません。

キョーリンの山崎研究所で、エサや水質、金魚の血統以外に、光や底砂などの外部要因が金魚の色揚げに及ぼす影響を調べてみました。

試験1 底砂の有無(大磯VS底砂なし)

底砂の有無で色揚の効果に差が出るかワキンを使って調べました。
水槽の底になにも敷かない区、大磯を敷いた区を用意しました。
写真の通り、底砂が無い区は水槽の底面がむきだしのまま、白い状態です。
同一の色揚飼料を与えて、1ヶ月間給餌しました。

飼育魚
ワキン
飼育環境
60p水槽に集中濾過 水温25℃にて1か月飼育
飼料
色揚飼料
1ヶ月後の結果
  • 底砂なし1か月後

    ▲底砂なし1か月後

  • 大磯1か月後

    ▲大磯1か月後

大磯を敷いた水槽の方が明らかに赤くなっています。

山崎研究所では、色揚を測定するために測色計という機器を使って評価しています。
肉眼では捉えられない微妙な色揚の量でも数値で把握できるのがメリットです。

この測色計を用いて、赤色の数値を比較しました。数字が大きいほど赤が濃い事を示しています。

赤色の数値
  開始時 1ヶ月後
底砂なし区 8.3 10.3
大磯区 9.1 24.1

開始時の数値はそれほど変わりませんが、1ヶ月後の数値は大きく変化しています。底砂の有無によって色揚がりに影響がある事が確認できました。

試験2 底砂の色(白砂利VS赤砂利VS大磯)

大磯を敷いた方が色が揚がる事は確認できました。今度は底砂の色によって色揚に差が出るか確認しました。
白色の砂利、赤色の砂利、大磯の3種類の砂利を用いてみました。

飼育魚
ワキン
飼育環境
60p水槽に集中濾過 水温25℃にて1か月飼育
飼料
色揚飼料
  • 底砂3色

    ▲底砂3色

1ヶ月後の結果
赤色の数値
  開始時 1ヶ月後
白砂利区 9.6 6.1
赤砂利区 9.2 15.9
大磯区 8.8 15.7
  • 3色赤と白、3色赤と黒(組み合わせ)

    ▲3色赤と白、3色赤と黒(組み合わせ)

赤い砂利と大磯では順調に赤が揚がっていますが、白砂利では逆に色が褪せています。
底が白いと色揚に悪い影響があるようです。
色揚飼料を与えていれば、色が揚がるという認識だったので、底砂でこれほど効果に差が出るのは驚きでした。

試験3 光の影響(青色VS黄色VS赤色)

飼育魚
リュウキン
飼育環境
60p水槽に集中濾過 水温25℃にて1か月飼育
飼料
色揚飼料

底砂以外に水槽内の色を変えてみた場合はどうでしょうか?
カラーのセロファンをガラス蓋に張って水槽内の光の色を変えてみました。
青、黄、赤色の三色のセロファンを用いました。

  • 青、黄、赤色の三色のセロファン

    ▲青、黄、赤色の三色のセロファン(写真はイメージです)

1ヶ月後の結果
赤色の数値
  開始時 1ヶ月後
青区 12.3 18.5
黄区 13.4 23.4
赤区 13.2 26.6
  • セロファン青 1ヶ月後

    セロファン青 1ヶ月後

  • セロファン黄 1ヶ月後

    セロファン黄 1ヶ月後

  • セロファン赤 1ヶ月後

    セロファン赤 1ヶ月後

赤色と黄色の区では順調に色が揚がりましたが、青色のセロファンを用いた区では色揚げが劣りました。

以上、3種の試験により底砂の色や水槽内の光の色が金魚の色揚がりに影響を及ぼす事が確認できました。理由は不明ですが、周囲の色や入射光に感応して、色素を蓄積しやすくなる可能性が考えられます。保護色のようなものかもしれません。

魚では光に対して成長や色彩に影響を与えることがあり、例えば、マツカワというヒラメに似た高級魚では、緑色の光で育てると成長が良くなることが知られています。メダカの稚魚も青色の光の元では給餌量や成長に悪影響が出るようです。

青色のプラ池がらんちゅうの飼育でよく使われていますが、果たしてこの青色が色揚げに最適なのか?
この問題はまだ調べていません。例えば、黒色の池の方が色揚に優れている可能性もありそうです。